「開発者数が増加したプロジェクトはたった6つ」ConsenSysが開発者動向を報告
ConsenSysは8月21日、ブロックチェーンの開発状況に関する調査結果を発表した。分析はElectirc Capitalが行った。2018年から2019年にかけてのブロックチェーンプロジェクトの変化は、淘汰の動きだといえる。弱小プロジェクトから開発者が減少する一方、BitcoinやEthereumなど主要なプロジェクトにはフルタイムの開発者が増加した。コードの発行量ベースで、ブロックチェーンプロジェクト全体の規模は、Apacheなどの有名なオープンソースプロジェクトに近づいている。
GitHubで開発を進めるブロックチェーンプロジェクト全体で、2019年6月時点での開発者の人数は、前年比10%減少している。減少の80%は月間コミット数が10未満のパートタイム開発者が占める。一方で、月間10回以上コードをコミットするフルタイム開発者は前年比で13%の増加が報告された。
開発者の減少は、市場価値で100位以内から外れるプロジェクトで特に大きく、19%減少したという。100位以内のプロジェクトに総開発者数の50%が含まれており、ここからの減少はたったの4%にとどまった。主要プロジェクトは陣容を変えることなく開発を継続できているということだ。フルタイム開発者を獲得したのは、スマートコントラクト、インフラ、DeFi分野が主だった。
Bitcoinの開発者数は安定している。市場価格が低迷した2018年中期から2019年初頭にかけても開発者数は若干の減少にとどまり、引き続き300人体制を維持する。
全プロジェクトで最大の開発者を擁するEthereumは、開発者数においては前年の規模を維持した。だが、Ethereumの場合は人数は変わらなかったものの、フルタイム開発者が34%も増加しており、実際の人的リソースは大幅に増加した。現在すべてのオープンソースのブロックチェーンプロジェクトのうち、18%の開発者がEthereumに集中しているという。
一定の規模を有するアクティブなプロジェクトのうち、開発者が増加したプロジェクトは6つしかない。最も増加が目立つのはDeFi分野でステーブルコインDAIを提供するMakerだ。別のレポートではDeFiの急激な成長が報告されており、過去1年間で市場規模は約2億ドル巨大化。2倍以上に膨れ上がっている。その中心がMakerであり、その実90%以上はMakerを中心としたプラットフォームに占められているという。Maker自体は元々開発者数が少なく、フルタイム開発者27.8人相当の増員で80.68%増となった。
ブロックチェーンブラウザBraveのトークンであるBasic Attention Token、Rippleなどは好調で、開発者数が増加している。Stellar Lumens、IOTAも開発者数の減少は10%以下にとどまり、現状維持と呼べる。
開発者数の減少が顕著なのは、Bitcoin Cash、NEO、TRON。約3割の開発者を失っている。実数で開発者の減少が最も大きかったのはEOSで、フルタイム開発者30.5人相当がプロジェクトを離れた。
ConsenSysは、Ethereumのエコシステムに多大な影響力を持つ大規模スタートアップ企業。Ethereumの共同創設者であるジョセフ・ルービン氏が設立し、世界中に拠点や従業員が点在する分散型企業の形態を取る。代表的なプロダクトとして、EthereumのWebブラウザ組み込み型ウォレットとして有名なMetamaskは同社が手掛けたものだ。世界中で極めて多様な事業展開を行っているが、国内では野村総研と協力しセキュリティ監視ツールの開発などに取り組んでいる。
仮想通貨Watchより転用