極めて中央集権化しているため安全性に疑問
ConsenSysは9月11日、Facebook(フェイスブック)が2020年に発行予定の仮想通貨Libra(リブラ)に関する調査結果を報告した。リブラに対する政府や銀行、規制当局の反応をまとめ、リブラ自体の技術的評価や、その合意形成アルゴリズム、開発言語Moveの仕様を包括的に分析している。
結論としては、「システムの分散化が全くなされていないため、リブラにはハッキングの懸念が残る。リブラの短期的な成功を判断することはできないが、ブロックチェーン技術が社会実装されるにあたり、重要なストーリーが生まれることは間違いない」ということだった。
ブロックチェーンには、スケーラビリティ・分散性・セキュリティを同時に実現することはできないというトリレンマがある。とりわけリブラは、分散性を犠牲に処理速度とセキュリティを確保した設計を持つ。
リブラの合意形成アルゴリズムは、LibraBFTと呼ばれる。これは、リブラ協会メンバーが運用するノードをバリデータとする、リーダー主導型の設計になる。各バリデータが交代で、ネットワークに入るトランザクションを検証し承認していく方式だ。要するに、たった29個のノードに強い権力を持たせた、極めて中央集権的な仕組みということになる。
一方、セキュリティは高く評価している。リブラにおいては、すべての呼び出しが単一のAPIエンドポイントを経由する設計になっており、非バリデータが直接呼び出せるのは、トランザクションの参照と送信だけだ。それ以外の命令はバリデータを経由するため、ネットワークトラフィックは厳格に制御されることとなる。裏を返せば、中央集権に拍車をかけているわけだが、APIエンドポイントが、ネットワークの内部を覆う一種のシールドとして機能するのだという。
ConsensSysのレポート「リブラガイド」はConsenSysの公式サイトから無料で入手できる。
仮想通貨Watchより転用