リクルート出資のブロックスタックに見る、分散型アプリケーションのビジネスモデル構築

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ブロックスタック(Blockstack)社が提供するファイル共有、分散型アプリケーション(Dapp)である「エンベロプ(Envelop)」が、クローム(Chrome)、ファイヤー・フォックス(Firefox)、オペラ(Opera)向けにブラウザ拡張機能を立ち上げた。このエンベロプは、ウィー・トランスファー(WeTransfer)と似た仕組みだが、ブロックチェーン・プラットフォームを介して暗号化したストレージを伴っている。

今後、デスクトップのブロックスタック・ユーザーは、シンプルに拡張機能にファイルをアップロードし、通常であれば容量が大きすぎるファイルも、Eメールやダイレクトメッセージにドロップすることが可能になる。

「ブロックスタックであれば、いつでもファイルがどこに保存されているかを認識できます」とエンベロプの共同創業者のセルジオ・デイビッド・ドス・サントス(Sérgio David dos Santos)はCoinDeskに語った。

ユーザーは、ブロックスタックの分散型システムを通して保存されたファイルへのアクセス権を失うことが無く、さらに、本人が知り得ないところで誰かにファイルの共有やアクセスをなされることは無い、ブロックスタックすらも例外ではない、と同氏は付け加えた。

このウェブ・アプリケーションは2019年6月の立ち上げ以降、1,000人のユーザーを獲得し、ギャンブルや金融サービスの分野以外で、最も健闘しているイーサリアム・ベースのDappだ、と同氏は述べた。

しかし、イーサリアムが基本的には各アプリを独立した製品と見なしている一方で、ブロックスタックのプラットフォームに載るグループは違う道を行く。

今日までに、ブロックスタックはベンチャー・キャピタルからの資金調達と、2017年から2019年にかけて何度かのトークン・セールスを行い、最初は適格投資家から、次いで米証券取引委員会のレギュレーションAプラス(Reg A+)による投資型クラウドファンディングにより、約7,500万ドル(約80億3,000万円)を集めている。

そして同社は、資金プールを確保し、ユーザーが集まった時点でプロジェクトに分配できるようにしていた。同社CEOのムニーブ・アリ(Muneeb Ali)氏は、2018年11月の開始以来、アップ・マイニング(App Mining)のインセンティブ・プログラムは、十数のプロジェクトに90万ドル(約9,600万円)相当のビットコインを支払ってきた、とCoinDeskに語った。

この分配は実にささやかな額だ。例えば、ドス・サントス氏によると、エンベロプは2019年6月以降、同プログラムから3784ドル(約40万円)しか受け取っていないという。他に、ブロックスタック上に構築された暗号化Eメールサービス「Dメール(Dmail)」は、2019年8月までに63,000ドル(約675万円)を得ている。

多くのブロックスタックのプロジェクトにとって、このような少額は問題ではない。エンベロプを例に挙げると、エンベロプ自体がウェブ開発企業「ブロッコ(Bloco)」のサイドプロジェクトであり、セルジオ・デイビッド氏と妻のクラウディア・ドス・サントス(Claudia dos Santos)氏が家族経営でコンサルティング業務を行っている。

Dメールや他の多くのブロックスタックのプロジェクトのように、ここに集まる企業は既に安定しており、自分達のサイドプロジェクトを収益化しようとも、また、近い将来ベンチャー・キャピタルから資金調達しようとも考えていない。

「アップ・マイニング・プログラムの良い点は、試行錯誤できることです」とドス・サントス氏は述べ、以下のように続けた:

「我々のコミュニティーは、分散型アプリケーション上に構築できる最適なビジネスモデルを未だ探している途中です。通常のビジネスモデルから、より倫理的なモデルに考え方を転換させる難しさがあります。」

仮に開発者がユーザー・データの収集、またはストレージ・オプションの販売を望んでいなかったとしても、こうした疑問が残る。すなわち、いかにして、自分達が作り上げ、メンテナンスするソフトウェアから価値を得るのか。

「もし我々のプロジェクトをオープン・ソース化し、ストレージそのものの管理をユーザーに任せるとして、我々が提供できるものは他に何があるでしょうか」とドス・サントス氏は問うた。「我々の選択肢は、少ないのです」

また、アップ・マイニング・プログラムは2019年11月に支払いをビットコインから、ブロックスタック独自のトークンSTXに変更する予定だが、これが同プログラムのサポートが持つ価値にどう作用するかが今後の注目点だ。ブロックスタックCEOのアリ氏は、もしSTXが取引所に上場するとすれば、米国人以外を対象とした、国際的な取引所で行われることになると述べた。また、上場は2019年10月か、それ以降となる公算が高いとも語った。

「ビットコインから(STXへ)完全に転換するという我々の計画は変更になる可能性もあります。積極的にパイロット版の時期にアップ・マイニング・プログラムに対して調整や改善を重ねているからです」と同氏は付け加えた。

一方で、エンベロプのチームは、仮想通貨領域外のユーザーも含め、ユーザー獲得に焦点を当て、利用者のニーズを探っている。

「いずれは、iOSのアプリとマック(デスクトップ)のアプリケーションを開発したいです」とデイビッド・ドス・サントス氏は述べた。「未だに手探り状態です」

coindesk JAPANより転用

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