Contents
イーサリアムをアルトコインとして分類することは適切でなくなる
機関投資家向けに仮想通貨取引所を運営するSFOXが仮想通貨業界の注目すべき動向に関するレポートを発表。直近1か月間を通してイーサリアムは他のアルトコイン価格との相関性が低い一方、ビットコインとは著しく高い相関性を示していることを指摘し、この傾向が続くようなら、イーサリアムをアルトコインとして分類することは適切でなくなると主張する内容などが掲載された
ビットコインのドミナンスとボラティリティ
最新レポートでは、今月の大きな動きとして、米トランプ大統領のビットコインおよびリブラに対するツイッター発言と、米連邦議会によるリブラプロジェクト公聴会を挙げ、このリブラ論争がビットコイン市場のドミナンスとボラティリティに影響を与えたと分析。今月の市場変動主要因であると指摘した。
米国政府によるリブラの調査開始以降、ビットコイン価格は、トランプ大統領のツイート前(7月10日)の12,483.97ドル(約135万円)からリブラ公聴会当日(7月17日)の9543.13ドル(約103万円)まで24%安、ほぼ一貫して下落していた一方で、ビットコインのボラティリティ変動率は7月10日の89.33%から7月17日の100.30%へ上昇した。
レポートでは、ビットコインの30日間のボラティリティが100%を超えるのは、 2018年3月6日以来のことだと指摘。このような事例の中で、ビットコイン価格の下落しボラティリティの上昇が見られていることには投資家の理解度の低さが影響しているとした。マーケットの懸念材料に挙げられたプライベートブロックチェーン上で発行される仮想通貨(リブラ含む)に対する政府の監視や規制強化懸念が、パブリックブロックチェーン上で発行されるの仮想通貨(ビットコインなど)に与える影響をよく理解していないとした指摘だ。
また、アルトコイン相場が一斉に同じような動きをする傾向があることは、よく知られているが、ビットコイン価格と主要アルトコイン5種(ETH、 BCH、 LTC、 BSV、 ETC)との相関性データ分析では、直近数ヶ月間と比較して、ビットコイン価格とアルトコイン全体の相関性が低下した一方で、アルトコイン同士の相関性はより高まったと指摘した。相関性データから2分化されたマーケットが見られたとしている。
イーサリアムとビットコインの相関性は突出して高い
一方、アルトコイン別にビットコインとの1ヶ月間の相関性指数を見ると(下記参照)、他のアルトコインと比較して、イーサリアムとビットコインの相関性が突出して高いことがわかる。
- イーサリアム:0.788
- ビットコインキャッシュ :0.638
- ライトコイン:0.577
- ビットコインSV:0.619
- イーサリアムクラシック:0.602
同分析から、レポートを執筆したSFOX研究チームは、イーサリアムは徐々に「ビットコインと大変よく似た、独自条件の資産として公に認識されるブロックチェーン」になりつつあると結論付けている。
そして、イーサリアムを「ビットコインではないその他のコイン=アルトコイン」と一括りに分類することは、もはや適切ではないかもしれないと述べた。
さらに、仮想通貨分野が進化を続け、世間の注目を集めるにつれて、ビットコイン以外の主要プロジェクトが提供する独自のメリットが理解され、評価されることにつながる可能性も大きいと期待しているようだ。
存在感を増すビットコイン
ただし、現時点で明らかなのは、リブラ公聴会やトランプ大統領の発言等、国家による規制問題などの大きな動きが起こった場合、投資家は依然として、まずはビットコインにフォーカスし反応するという事実であり、それは、ビットコインの仮想通貨市場におけるドミナンスの高まりという形で表されている。
レポートでは、3月には約50%であったビットコインのドミナンスが、この時期には65%から75%に上昇したと指摘。リブラをめぐる一連の騒動で、ビットコインの知名度はますます上がり、主要メディアをはじめ、各国政府や国際的に影響力を持つ機関において議論されてきている状況に移行していることに業界におけるメリットがあると見ている。
SFOXのレポートが期待するように、「仮想通貨の次のステージの幕開け」をイーサリアムが予感させるどうかは業界や市場が今後の展開を見定めていくと見られるが、ビットコインの存在は金融システムの中で確実に存在感を増しつつあることは確かなようだ。
COINPOSTより転用