仮想通貨イーサリアムのブロックチェーン(分散型台帳)が不足しつつある。イーサの共同考案者ビタリック・ブテリン氏が先週、警告を発した。
イーサスキャンによれば、イーサのネットワーク利用率は90%台に跳ね上がっている。ブテリン氏は基盤のブロックチェーンでイーサの取引を処理するコストが一部ユーザーにとって過度に高くなっていると指摘。利用率が上昇すれば、取引コストも追随する可能性があり、法人にイーサ利用をためわせるかもしれないとも説明した。
ネットワーク混雑の背景には、イーサのブロックチェーンを利用するデジタルゲーム「クリプトキティーズ」が約2年前に、そして別の仮想通貨テザーが2015年にそれぞれ登場した経緯がある。
データ調査のイーサガスステーションによると、テザーは過去30日、同ブロックチェーン上で取引を処理するコンピューターに手数料26万ドル(約2750万円)を支払った。これはクリプトキティーズの約17.5倍、世界最大の分散型取引所でイーサをベースとする「IDEX」の6倍という。
ドルのように比較的安定した仮想通貨を意図して設計されたテザーの利用は広がっており、その少なくとも40%はイーサのネットワーク上で運用されていると、米テキサス大学オースティン校でファイナンスを教えるジョン・グリフィン教授は7月に推計した。テザーに充てられる容量が増える中で、他のデベロッパーへの余地が小さくなっている。
日刊工業新聞より転用