インフラから個別機能までを全方位で提供できる強み
こうした変化を支援する視点で、オラクルはデジタルバンキングで求められるさまざまな要素を、ワンストップで提供できる数少ないベンダーであると自負しています。
業務アプリケーションでは、オープンAPIやユーザーエクスペリエンス、フロントのチャネル・システム、コアバンキング・システムを提供しています。特に、コアバンキング・システムは、世界135カ国以上で600以上のシステムが稼働しています。これらを顧客の環境に合わせて最適化し、提供しています。
また、金融システムにはリスクマネージメントや不正防止の仕組み、そして法令遵守のためのソフトウェアも不可欠であり、それらを網羅する製品も提供しています。さらに、こうしたソフトウェアに加え、会社全体の収益管理を行うERP(Enterprise Resources Planning:企業資源計画)も持ち合わせています。
もちろんデータベースも外せません。データベースはオラクルの最大の強みですし、データベースを管理するミドルウェアもすべて揃っています。
最後にインフラとして提供しているのが、クラウドです。2019年5月には東京リージョンを開設しました。また大阪リージョンも間もなく提供します。
オラクルは、リテールバンキング、コーポレートバンキング、トランザクションバンキング、リスクおよび規制の分野で2000を超えるグローバルバンキング業界の顧客に対し、システムを提供するための総合的な知識を提供し、デジタル専用の仮想銀行を立ち上げた銀行や電話会社とも協力しています。
ユーザーエクスペリエンスといったのは「オラクル・バンキング・デジタル・エクスペリエンス(OBDX)」という製品です。「統合層(ホスト接続)」「サービス層(API)」「表示層(UX)」の三層構造で、それぞれに必要な機能を提供しています。本製品の「UX」機能を使えば、パソコンやスマートフォン、タブレット端末など、さまざまな機器からのアクセスに対応できるUIを構築できます。
OBDXの特徴は、オラクルとしてのプロプライエタリな技術を使わず、オープンソースと業界標準の技術だけで、簡易なテンプレートを利用してUIを構築できることです。過去において、こうしたプラットフォームは、デバイスやチャネル毎に個別に開発する必要がありました。OBDXのUXは、PCやモバイル、コールセンタ向けなどのUIをはじめ、あらゆるデバイスに一元的に対応できます。これにより、プラットフォームの開発コストの大幅な削減が期待できます。

SME市場とミレニアル世代へのアプローチがカギ
デジタルバンクのチャレンジの一つとして、従来の銀行が相対的に注力していなかったセグメントにおける金融サービスニーズを満たすことが必要と考えます。
その意味で大きく2つの市場が重要だろうとみています。1つはSME(中堅・小規模企業)市場です。これまで世界的に見過ごされてきた中小企業のスペースに「創造的破壊」をもたらす余地があります。
なぜなら海外では、個人は数時間で口座を開設することができますが、より厄介な規制のハードルに直面している中小企業については同じことは言えません。香港の伝統的な銀行でさえ平均38日かかります。
もう1つは、ミレニアル世代(1989年~1995年に生まれ)に対するアプローチです。ミレニアル世代は、銀行が自分たちのライフイベントにタイムリーに応えることを期待します。また金融機関が彼らの信頼できる金融アドバイザリーであることを期待しています。しかしながら、金融機関はその点に関して、ミレニアルを過小評価してきました。
伝統的な銀行は、ミレニアル世代の休暇の過ごし方、車の購入、あるいは日々の買い物や予算編成といったライフイベントに関連性を持ったサービスの提供をあまりしていません。
デジタルバンクは、ミレニアル世代の支出パターンの裏にあるデータの中に隠された提案機会を認識しています。たとえば、自動車や住宅など、比較的大きな買い物をするタイミングもわかります。その際に優遇金利でローンを組めるといったサービスを提案するといったことも可能になるでしょう。
ただし難しいのは、ITのイノベーションの速さに金融機関が対応できていけるかどうかということです。イノベーションのサイクルがますます短期化することを考えれば、そのイノベーションが一般に広く使用可能になるまでの時間は非常に短いものとなります。
したがいまして、大規模な銀行自身がそのままで、このイノベーションを戦略の主流にすることは容易ではないと考えます。
そこで新たな形態のデジタルに特化した銀行が求められと思います。今後、非金融系の事業者がバンキングに参入してくるであろう状況においては、こうした対応がますます必要になるでしょう。
FinTech Journalより転用