500兆ドル市場を見据え、デリバティブ用に新プログラミング言語「リラ」誕生

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イスラエルに拠点を置く取引所プラットフォームのイートロ(eToro)は、デリバティブ取引を簡略化するために設計された新しいプログラム言語を発表した。

「Ethereal Summit Tel Aviv 2019」に先立って2019年9月15日(現地時間)、イートロの主任ブロックチェーンスペシャリストのオムリ・ロス(Omri Ross)氏は、「リラ(Lira)」と名付けられたこの新しい言語は、金融取引の決済に伴うリスクを減らし、イーサリアムブロックチェーン上の資産から新しいデリバティブ商品を作り出すことを可能にする、と述べた。

個人および機関投資家がデリバティブの取引を開始できるようにするために、イートロX・ラボ(eToroX Labs)が構築したデモ版の取引プラットフォームも公開された。このプラットフォームは、取引実験の全範囲を試験するためにリラを用いている。リラによっては、取引に異なるタイムリミットを設定し、異なる仮想通貨をスワップし、複雑な決済条件を書くことができるようになるかもしれない。

イートロは「シンプルな先物商品から、(ローン担保証券のような)複雑なエキゾチック商品までどんなものでも」コミュニティーが開発することを促すために、リラをオープンソースとした。さらにラボは、異なるブロックチェーンを越えて、他の分散型金融(DeFi)プロジェクトでもリラが採用されることを企図している。

「市場やコミュニティーが、仮想通貨取引所や機関投資家向けのファイナンスなど、分散型の用途にこの新しいプログラム言語をどのように導入していくか楽しみにしています」とロス氏は述べた。

リスクの少ないプログラミング言語としての「リラ」

ブロックチェーン開発の大半で使われる「広範な」プログラミング言語とは異なり、リラは「ドメイン固有」、つまり限られた一連の指示を記述し、実行することしかできない。リラの唯一の機能は、カウンターパーティーが自己実行型の契約に基づいて、記述、認証、回収を行うことを可能にすることのみである。

ロス氏は、リラで金融契約を記述するコードの典型的な長さは6〜10行であり、よりシンプルな開発サイクルにつながり、エラーの余地が少なくなると述べた。

「基本的に金融契約とは単純な計算であり、往々にして大きな額を扱うため、ドメイン固有のプログラミング言語に非常に適した用途となります」とロス氏は述べ、次のように続けた。「非常に限られた指示しか記述することができませんが、達成でき得る最高水準の能力と整合性を持って機能を果たします」

対照的に、イーサリアムに利用されているネイティブ記述言語のソリディティー(Solidity)のような広範な言語は、幅広い用途を可能にするが、リスクも伴う。ロス氏は具体的に、悪意者が自立分散型組織のコードを利用し、360万イーサリアム(ETH)が流出したThe DAO「ハッキング」事件に言及した。

ロス氏は2019年3月にイートロに加わり、同社の12のステーブルコインの開発を指揮してきた。

ニューヨーク連邦準備銀行(Federal Reserve Bank of New York)は2017年、デリバティブ市場の全体の規模を500兆ドル(約5京4000兆円)と見積もっている。

coindesk JAPANより転用

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