【前編】お金が変わる!法定デジタル通貨の世界動向を大特集!

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【前編】お金が変わる~法定デジタル通貨~

今、ビットコイン、イーサリアム、リップルなど巷で話題のキーワードを検索すると、様々な情報が出てきますが、
WEBサイトによってこれらを「仮想通貨」と表現していたり、「暗号通貨」と表現していたり…正直定義が曖昧で混乱しがちです。
*海外ではこれらのコインを “Crypto Currency” と表現していますので、どこから「仮想」という単語が出てきたのか不思議ですね。

そんな中、2019年3月に金融庁が発表した資料で、しっかりと定義及び名称の指針が示されました。「暗号資産」であると。

これは2018年11月末にアルゼンチンの首都ブエノスアイレスで開催された国際会議「G20サミット(金融・世界経済に関する首脳会合)」の共同声明に準じる形で変更されており、その内容「仮想通貨(暗号通貨)は通貨としての特性を欠く」と厳しく言及され、国際会議で初めて「”Crypto Asset”(暗号資産)」と表現されたのです。日本では2020年6月までにこの名称変更が施行されるとのことです。

(出典:2019年3月発表 金融庁資料より一部抜粋)

さて、そんな中、世界各国では「自国通貨のデジタル化(法定デジタル通貨)」という構想について、現実味を帯びた議論が活発になっています。
*法定デジタル通貨は ”Central Bank Digital Currency”と呼ばれ、その頭文字を取ったCBDCと略す

「暗号資産の次は法定デジタル通貨? もうよくわかんないな…」という方も多いと思いますし、実はこの「法定デジタル通貨」は、これまでのお金を変える可能性を高く秘めており、日常生活にも密接に関わってくるため、遅かれ早かれ絶対知っておくべき内容です!今回はそちらを前編・後編と分けまして特集したいと思います。これからご紹介する前編は「法定デジタル通貨とは?」「世界各国の動向」をピックアップいたします!

法定デジタル通貨とは

法定デジタル通貨とは、各国の中央銀行(日本で言えば日銀)が発行しているデジタル通貨のことです。一般的には次の3つを満たすものであると言われてます。

  1. デジタル化されていること
  2. 円などの法定通貨建てであること
  3. (現行の硬貨や紙幣と同様に) 発行元の債務として発行されること

日本の内閣府は、2017年6月の「未来投資戦略2017」で「キャッシュレス化推進」に関して、KPIとして10年後の2027年6月までにキャッシュレス決済比率を倍増(2017年:21% → 2027年:40%)させることを目指すと明記しています。

また、世界基準で見てもこういった構想自体は全く新しいものではなく2015年前後からあったもので、キャッシュレス社会の実現を加速させる一つの手段として各国も検討を開始していました。しかし、2019年6月にあの最大手SNSサイトを運営するFacebook社が「世界の主要通貨をベースとした新しい通貨Libra(ステーブルコイン)を2020構年前半にリリースする!」という構想発表後、各国が法定デジタル通貨の開発に関して本格的に議論が開始され、動き出しているのです。

Facebook Libra ザッカーバーグ

法定デジタル通貨の世界各国の動向

まず日本は、2018年半ばからCBDCを巡る議論は関係者が会合を重ね行われていたようですが、 2019年10月時点で法定デジタル通貨発行に対して慎重な姿勢を示しています。それは2019年7月に「日本銀行はデジタル通貨を発行すべきか」と題した講演の中で日本銀行 雨宮正佳副総裁が以下のように語った点から推察されます。

「国際決済銀行が行った中央銀行を対象とした調査結果の多くを占めた、『CBDC発行の可能性は低いが調査研究は行っていく』というスタンスは日本銀行も同様である」

(出典:日本銀行 https://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2019/data/ko190705a1.pdf)

一方、現国際経済において最も影響力があるドルを持つアメリカはどうでしょうか?2019年10月にREUTERSに報道された内容によると、連邦準備制度理事会(FRB)のフィラデルフィア連邦準備銀行総裁Patrick Harker氏は「米国が法定デジタル通貨発行の先進国になるべきではないが、避けられない事象である」とこれもまた慎重な姿勢を保っており、しかし中長期的には発行を視野に入れていることを述べたようです。

このように日本やアメリカなど慎重な姿勢の国がある中、法定デジタル通貨先進国としてその発行に向けた準備をしている国も多くあります。 中国、シンガポール、カナダ、バハマ、タイ、ウルグアイ、スウェーデン、インドなどです。

中でも、現金の使用量が少ないキャッシュレス先進国として有名な北ヨーロッパに位置するスウェーデンは法定デジタル通貨発行にも最も前向きで他国より早い段階から始動しています。2017年3月中旬に中央銀行であるスウェーデン国立銀行(リクスバンク)が「eクローナ」と呼ばれる法定デジタル通貨発行の検討を始め、導入に向けた3段階の工程表を発表し、2021年中に導入を目指しているという。

また、アジアでは中国の中央銀行にあたる中国人民銀行が2014年頃から仮想通貨の研究を開始し、2017年6月に設立されたデジタル通貨研究所を通じて、「デジタル通貨電子決済(DCEP:Digital Currency Electronical Payment)」の開発に取り組んでおり、Libra構想発表後の9月には、決済局元次官の穆長春氏をデジタル通貨研究所のトップに任命する人事を発令し、DCEPの開発加速を図っています。米Forbes誌によれば、早ければ今年の11月にも発行されるだろうということです。

まとめ

本記事では、「法定デジタル通貨とは?」「世界各国の動向」に着目しました。法定デジタル通貨への各国の取り組みなどを以下に 一覧で まとめたのでご参考ください。

法定デジタル通貨(CBDC)は、ここ2、3年の間に日本やアメリカに先駆けて、スウェーデンや中国などで導入される可能性が高いと思われます。また先日11月5日には欧州連合(EU)が欧州中央銀行(ECB)や他の欧州の中銀に対して、法定デジタル通貨の創設を検討するように提言したことが、ロイター通信が入手した文書で明らかになったようです。Facebook社のLibraのような民間デジタル通貨との対立がより一層明確になった形で、通貨が大きく変わる分岐点に差し掛かっていると言えるでしょう。

後編では法定デジタル通貨をより詳細に、メリット・デメリットの観点からお伝えしていきたいと思います。

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